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「交通事件」に関するお役立ち情報

交通事故の加害者が略式起訴となるケース

  • 文責:弁護士 宮城昌弘
  • 最終更新日:2025年3月10日

1 交通事故加害者の刑事責任

交通事故加害者は、刑事責任・民事責任・行政上の責任をそれぞれ負う可能性があります。

ここでは、そのうちの刑事責任についてご説明いたします。

刑事責任は、罪を犯したことに対して刑法等に基づき国から処罰を受ける責任です。

もっとも、交通事故においては、相手を死傷させてしまった場合や、信号無視で捕まった場合など、様々なケースがあります。

起こした事故の内容等によって、刑罰の重さは大きく変わってきます。

被害者に怪我を負わせてしまった場合には、過失致死傷罪が成立し、加害者は7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金刑を受ける可能性があります。

(なお、2025年6月1日からは懲役と禁固が一本化され拘禁刑となります。)

飲酒運転などの悪質な交通事故の場合には、危険運転致死傷罪が成立し、被害者が死亡したときには20年以下の懲役、怪我を負ったときには15年以下の懲役刑を受ける可能性があります。

信号無視、スピード違反、無免許運転、ひき逃げなどの場合には、道路交通法違反として刑事罰を受ける可能性があります。

交通事故によって怪我人までは発生しなかった場合には、原則として犯罪は成立しません。

ただし、他人の物を壊す目的で自動車をぶつけたような場合には、器物損壊罪が成立し、3年以下の懲役、または30万円以下の罰金、もしくは科料を受ける可能性があります。

2 略式起訴について

略式起訴は、簡易な略式手続による裁判を求めて、検察官が被告人の同意を得て起訴することをいいます。

正式裁判の場合、検察官は被告人の同意なく起訴することができますが、略式手続の場合、被告人の同意なく起訴することはできません。

正式裁判の場合、裁判所は公開の法廷で証人などから直接話を聞いた上で判決を出しますが、略式手続の場合、裁判所は非公開の手続きで書類審査をしただけで略式命令を出すことができます。

正式裁判は数か月程度の期間を要しますが、略式手続はすぐに終わります。

このように、正式裁判に比べて手続きが簡単であり、早期に終わらせることができるという利点があります。

なお、裁判所は略式命令を出すと、被告人に対して略式命令書を発送しますが、略式命令の内容に不服があるときは、被告人は、略式命令書を受け取った日から2週間以内に正式裁判を請求することができます。

3 交通事故加害者が略式起訴されるケース

交通事故加害者のうち、6から7割程度は不起訴とされています。

起訴される場合であっても、その多くが略式起訴とされています。

略式起訴されると、加害者は100万円以下の罰金、または科料を負うことになりますが、懲役刑を負うことはありません。

例えば、被害者の怪我の程度が軽微である、加害者と被害者との間で示談が成立している、加害者が初犯である等のケースでは、略式起訴になることが多いです。

4 正式裁判になるケース

検察官が重大犯罪であると判断した場合、正式裁判になることがあります。

正式裁判になると、裁判所は加害者に罰金刑だけでなく、懲役刑も課すことができます。

例えば、被害者が重篤な傷害を負ってしまった、被害者が亡くなってしまった、加害者が飲酒運転をした、同種の前科が多数ある等のケースでは、正式裁判になることが多いです。

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