Q&A
痴漢はどのような罪になるのですか?
1 痴漢行為と刑罰
痴漢行為は、行為態様の悪質性により、条例違反と不同意わいせつ罪(旧:強制わいせつ罪)に区別されます。
一般的には、着衣の上から触れる行為は迷惑防止条例違反とされ、直接女性の体に触れる行為は不同意わいせつ罪であると理解されていることが多いですが、条文上はそのように明確な規定がなされているわけではありません。
裁判例及び検察官の傾向としては、保護法益である「性的自由に対する侵害の程度」を個別具体的に判断して、不同意わいせつ罪とするか否かを決しているものといえます。
2 痴漢行為の量刑
条例違反の痴漢行為の量刑は、「拘禁刑6月以下または罰金50万円以下」とされていることが多いです。
ただし、条例の内容によっては、「拘禁刑1年以下または罰金100万円以下」とされていることもあるため、注意が必要です。
他方、不同意わいせつ罪にあたる痴漢行為の量刑は、「拘禁刑6月以上10年以下」と法定されています。
3 条例違反の痴漢行為における量刑判断
条例違反の痴漢行為の場合、拘禁刑と罰金刑を分ける判断要素としては、痴漢事件前科の数が重要となってきます。
具体的には、痴漢行為が初犯の場合であれば、ほとんどが罰金刑となります。
他方、再犯の場合であれば、ほとんどが拘禁刑となります。
ただし、初犯の場合であっても、①痴漢事件の結果の重大性、②痴漢事件の行為の悪質性、③痴漢事件の加害者と被害者との間で示談が成立しているか否かなどが考慮され、拘禁刑となることもあります。
4 痴漢事件を弁護士に依頼するメリット
痴漢行為に及んでしまった場合は、被害者の方との示談を成立させることが重要です。
初犯であれば、示談が成立すればほとんどの場合は不起訴とされます。
ただ、痴漢被害を受けた被害者の方は、加害者に連絡先を知られたくないと考えるため、加害者が被害者の方と直に示談交渉をすることはほぼ不可能です。
痴漢行為に及んでしまった場合には、加害者は、弁護士を間に立てることで、被害者との示談交渉を進めることができることとなります。
また、痴漢では現行犯逮捕されることが多いですが、弁護士に依頼することで、早期の身柄釈放に向けた活動を行ってもらうこともできます。
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